Hinata’s diary

詩のようなものを書いています。Twitter→@hinata_mnst

花の心

あなたがくれた優しい言葉。あなたがくれた真っ赤な薔薇。僕がケガをしないようにと、あなたはトゲを折ってくれた。赤のペンキを花に塗った。それがあなたの強さなのだろう。僕なら真っ赤な手を見せて、「これが愛だ」と叫んだに違いない。僕にはそれを受け取れず、水溜まりに落としてしまった。血の池のように、純粋が混濁としていく。僕はそれを飲み干してしまおうと思ったが、罪を隠すことなんてできなかった。振り返って見ると、僕らの通った道に虹が敷かれていた。

 

随分と雨は止んでいない。鬱陶しくて仕方がないが、結局雨が止んだところで良いことは何もない。雨が降った後の空には虹が架かると言うけれど、僕らの足元に残るのは水溜まりばかりで、たとえ地上に虹が架かったとしても、きっと次第に錆び付いてしまうだろう。


この赤が、この愛が、この優しさが、俄雨に落とされてしまうと思うと恐ろしくて堪らない。あなたの傷が癒える時、あなたは僕を忘れることでしょう。だから僕は受け取れず、優しい花を水に落とす。傷付くことを恐れて愛することを止めるのは身勝手だろうか。甘えだろうか。あなたのその円らな瞳を、僕のこの瞑らない瞳で愛せたらどんなに幸せだろうか。


酸素が無い世界は美しい。僕のいない世界をあなたは望んでいるだろうか。錆びた虹を汚れだと思うのは僕らの我儘だ。僕の意味を諦めるのはまだ早い。虹を砕けば雨が止むと信じて、あなたを愛する心を信じたい。