やさしい花
あなたがくれた優しい言葉
あなたがくれた真っ赤な薔薇
鉄とシンナが綯い混じる
瞳を潤す 耽美な香り
僕がケガをしないように
綺麗にトゲを折ってくれた
白魚の喉を貫いて
滴る涙はチーク紅
赤のペンキを花に塗った
それがあなたの強さなのだろう
僕なら真っ赤な手を見せて
「これが愛だ」と叫んだに違いない
そんな夢を見たんだ
優しさを追いかけてたら
ベッドの中にいるんだ
この浅ましい世界には
優しさなんて無いんだった
枕元で揺らめく世界が
証明してくれた気がしたんだ
他者を想う行動を叡智は優しさと呼んだ
この世の全ての優しさを僕らは架空とみなす
優しくなるために水遣りを始めた
乾いた心を潤すために
だけどそんな作業で心は満たされない
悪党だって優しくできるんだ
本物になんてなれるわけなかった
優しくなるために欄干に生ける
亡くしたあなたを弔うために
優しい人は憂いを重ねるだけなんだ
悪党だって優しくできるんだ
本物になんてなれるわけなかった
僕とあなたの間に
狂暴な花を咲かせるよ
誰が為の優しさで
傷付け合って生きていこう
打算的な情愛を彼等は偽善と呼んだ
この世の全ての偽善を僕らは優しさとみなしたい