Hinata’s diary

詩のようなものを書いています。Twitter→@hinata_mnst

ぬりえ

一瞬にして朽ちてしまった。僕が孤独に変わったその日、絵に感情を描き殴った。一面に塗りつぶされた黒。この重く苦しい複雑な感情を、こんな単純な作業でしか表せられないことに、憤りを覚えた。あの頃の僕に多大な苦しみを表現することも、押し殺すこともできなかった。あれ以来、僕は絵に期待なんてしていない。

僕はその作品に「夜」と名付けた。そして最後に月を浮かべる。一縷の希望はまだ僕を見ていない。ウサギを殺して、蜘蛛を描けば助かるんじゃないかと思った。優しくあれよと自分に言い聞かせた。別に意味なんて無いけど、なんとなく救われる気がした。

かげ

太陽が無くなると朝がなくなるけど
月がいなくなっても夜って感じする
結局夜を作ってるのも太陽なのかな

世界はあまりにも相対的で
太陽みたいな君がいるから
僕は日陰で丸くなる
太陽なんて無くなれば
きっと世界は平和よ

もちろん朝の月なんて関係なくて
生きてるふりをしてるだけ
満ちていく月にぶら下がっては
幸せなふりをしてるだけ

それでも幸せになりたいと願うの
でも大体は向上心が無いのね
笑われて終わっちゃうから
朝を迎えるふりもしない

まだ僕は子供だから
大人になれば分かるかな
信じているよ大人さん
美しい朝を知るものと

 

カラーテレビ

冬の宵のような黒髪と
雪が染めたような白い肌
この世界がモノクロになっても
構わないと思えました

愛を口にすればそれは恋となり
次第に肥大化していく
いらない想いを育て続けました


永遠を願った僕は
当たり前に殺されて
永遠を目指した君も
当たり前当たり前よ


白を裂いたら赤が見られるかな
首を絞めて君の真っ青な顔がみたいな
そしたら君の隣でレモンでも嚙ろうか

僕の心が狂っていたように
君の瞳も狂っていたのです
ただそれだけでした
君が秋の空を仰ぐように
手紙を書いては破いていたのです
もう一度冬に会いたいな

ただのラブソング

こんな甘い言葉は書きたくないけど
これが今の僕だから
書かずにはいられなかった


君の事はあまり知らないから
好きだと思うのはありえない
勘違いして傷付きたくないから
君の言葉の心は見ない

でもなぜかそれが嬉しくて
僕の心は僕の意志を見ない
君に会えないと思うと
酷く擬かしくて堪らない

時間は全て失くすことを知っているから
それに委ねてしまいたい
でも思い続けるのは辛いけど
涙を流したいほど嬉しいんだ


君の言葉で踊った心臓を
すぐに恋とは名付けたくないから
大人しくさせてみる

だけど冷静になったとして
正体を記すことなんてできやしないから
波打つ君の元へと駆けたいと思った

花の心

あなたがくれた優しい言葉。あなたがくれた真っ赤な薔薇。僕がケガをしないようにと、あなたはトゲを折ってくれた。赤のペンキを花に塗った。それがあなたの強さなのだろう。僕なら真っ赤な手を見せて、「これが愛だ」と叫んだに違いない。僕にはそれを受け取れず、水溜まりに落としてしまった。血の池のように、純粋が混濁としていく。僕はそれを飲み干してしまおうと思ったが、罪を隠すことなんてできなかった。振り返って見ると、僕らの通った道に虹が敷かれていた。

 

随分と雨は止んでいない。鬱陶しくて仕方がないが、結局雨が止んだところで良いことは何もない。雨が降った後の空には虹が架かると言うけれど、僕らの足元に残るのは水溜まりばかりで、たとえ地上に虹が架かったとしても、きっと次第に錆び付いてしまうだろう。


この赤が、この愛が、この優しさが、俄雨に落とされてしまうと思うと恐ろしくて堪らない。あなたの傷が癒える時、あなたは僕を忘れることでしょう。だから僕は受け取れず、優しい花を水に落とす。傷付くことを恐れて愛することを止めるのは身勝手だろうか。甘えだろうか。あなたのその円らな瞳を、僕のこの瞑らない瞳で愛せたらどんなに幸せだろうか。


酸素が無い世界は美しい。僕のいない世界をあなたは望んでいるだろうか。錆びた虹を汚れだと思うのは僕らの我儘だ。僕の意味を諦めるのはまだ早い。虹を砕けば雨が止むと信じて、あなたを愛する心を信じたい。

目の前の景色を
世界と同じ色に染める
暗闇に変わったら
素敵な色で彩ろう

2つの世界の入り口で
今宵も裁きが下される
今日と明日の世界を繋ぐ
弾む心の廃棄場

人々の理想を上映する
独り善がりのムービーシアター

あなたが今日抱いた幸福感は
暗闇の果てを選んだ
「闇の先は光でした」 笑ったって
明日が生きづらくなるだけさ


現実の記憶が
夜の世界に現れて
未完成の僕を告げる
記憶の忘却を阻んだ

1つの世界の入り口で
今宵も裁きが下される
今日と終わりの世界をつなぐ
「明日を知れるだけ幸せじゃないか」

自分の脳内で診断された
無意識レベルの偽カルテ

あなたが今日抱いた罪悪感は
暗闇の果てを選んだ
「闇の先は闇でした」 泣いたって
昨日は何にも救われない


目を開けた その先の世界が
輝いていられるように
「光の先も光だった」って
笑っていられるように
昨日の狭間を掻き消して
今日を繋いでいけばいい

 

愛の上を歩けるなら

永遠など無いと知りながら
愛を繋いで死んでいく
到底理解できないけど
そうするしかないのだろう
きっと僕も同じだろう

あの頃は夢中だった
目の前の優しさのような
薬のような温かさに
唯一の解決策を見落とす程だった

愛を楽観視できるなら
雨が降ることはなかった
何も知らない大人達の
抗う姿は悲惨だった


君は渡した手紙 すぐに破り捨て
「ごめんなさい」と言うのだろう
そしたら僕は地面の中から
惨めに愛を探すのだろう

「あの頃は」とか言えるほど
大人になっちゃいないけど
また愛を見つけた気になって
子どもに戻ってしまうだろう

恋は楽観視するものだ
真面目でいても悲しいだけだ
何も知らない子どもの僕に
愛を語る資格なんて無かった

 
恋というものを知らなければ
恋をせずに済むんだろうな
愛というものを知らなければ
誰も生きてはいけないだろうな

愛を楽観視できるなら
きっと僕ではいられなかった
愛を愛せよ 自分を愛せよ
あなたに優しくなれるまで

愛を大事にできるだなんて
微塵も思っちゃいないけど
あなたに優しくなれるまで